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ディスコの歴史 Part1 〜僕らに今、Discoが必要な理由〜
序章

Disco!!! ディスコ!!! いわゆるクラブ・カルチャー全盛の90年代以降、ある種、負の遺産をも抱えた国内ディスコ事情も伴い、一過性の流行モノとして「懐かしのアノ方は今?」的企画でしか目にする事の無かったディスコという単語を、ここ近年急激に目にするようになってきました。様々なFM局や都内ではMX TVなどでもディスコ番組が生まれ、渋谷のタワー・レコード店内の壁面に突如としてディスコ・セレクションが生まれ、各レコード・メーカーがこぞって往年の名盤やディスコ・レーベルをまとめてリイシューしだしている昨今。品川プリンス・ホテルで開催されている夏のイベント「プリンス・ディスコ」にはこの数年、千人を超える往年のファンが詰めかける一方、クラブ界隈では世界的にNu Disco呼ばれる、リエディットされた12インチやBoogieと呼ばれるダンス・クラシックスが大人気という、多方面に渡り本格的復権感の強い昨今のディスコ事情。女性自身に「ディスコの復活」特集が、エル・ジャポンに80’s ニューヨークディスコの特集が、海外の映画でも’70年代のディスコ・カルチャーを下書きにした物語がというように、その振り幅にも改めてディスコというムーブメントがいかに世界規模で同時多発的なものだったかを思い出させます。

 そんな僕もご多分に漏れずディスコづいていて、2014年には当時所有していた2万枚超のレコード箱から、今でもその魅力が薄れるどころか、新たに輝きだしている70年代〜80年代のディスコ・レコード700枚を紹介するディスク・ガイド、「ダンス・クラシックス・ディスク・ガイド」を発表したり、70年代のニューヨークを象徴するアンダーグラウンド・ディスコの代表レーベルであるSalsoul RecordsとWest End Recordsの音源をMixしたアルバム、「Disco & Boogie in ニューヨークC Vol.1」をリリースし、Disco & Boogie Mixシリーズをスタート。さらに、7インチのディスコ・レコードのDIGに勤しんでいる毎日です。

 なぜ世の中は、なぜ僕は、こんなにもディスコを今、欲しているのでしょうか?

 答えは様々かもしれません。始めに言っておきますが僕は70年代の後半、映画「サタディ・ナイト・フィーバー」の大ヒットに煽られ大流行した国内のディスコ・ブームをリアルタイムに目の当たりにしながらも、全く無縁の青春時代を過ごした男で、さらに演奏家として嫌々ディスコでヒット曲を演奏させられた経験がより一層の嫌悪感を煽るような時を重ねてきた元パンクスだったりするので、今更何故ディスコ、ディスコと騒いでいるのか、真意はまったく伝わらないのではと思っています。一方で僕は2010年に大阪のクラブでの殺傷事件に担を発し、全国的に広がった風営法違法下でのクラブ営業の激しい取り締まりに対して、クラブ側からDJやラッパー/アーティストたちが集い、2013年に立ち上がった「クラブとクラブカルチャーを守る会」の副会長/会長代行を立ち上げ時から務めてきました。

 2013年に5月には「Let’s Dance署名推進委員会」の集めた15万筆超の『ダンス規制の見直しを求める請願署名』を国会に提出した流れを受け誕生した、超党派の衆参議員による『ダンス文化推進議員連盟』の初回会合においても、それまでの人生で想像したこともない「ダンス・ミュージックは世界とも繋がる日本の文化だ!経済活性化の大きなヒントだ!」となんとクラブ業界を代表し、議員会館でスピーチをするような立場にまでなってしまったのです。その後も『ダンス議連』のメンバーを始めとする議員に対してのロビー活動や警察庁(主に風営法を取り扱う生活安全課)に通い詰めることが日常となっていきました。そこからさらに3年強の月日を経て無事、風営法は2016年6月23日に改正/施工されましたが、そんな僕がなぜ今Discoにこだわっているのか、一度自分の中でも明確化しておかないと落ち着きの悪いことになっています。

 まずその為に改めて深く、ディスコ・カルチャーというものの世界的な歴史を自分なりに検証していかないといけないと思い始め、多くの文献や資料を集め出すようになっていきました。この本ではそうして僕が沢山の資料や多くの方々から伝え聞いた大切な事実を年代を追い、’70年代の世界的なディスコ・ブームの発信地であったニューヨークでの歴史を、そして日本、東京での歴史とそうしたディスコ=踊り場に寄り添ったダンス・ミュージックの歴史とを共に追い直し、紹介していく事にしました。その中に今なぜ僕が、僕たちが、ディスコを今必要としているかのヒントが隠されていると思ったからです。濃く厳しい歴史ですが、じっくりと一緒に探っていきたいと思います。

To Be Continued