
JASRAC正会員理事候補(作詞者区分)
Watusi
JASRAC 管理委託契約約款委員会委員・システム懇話会メンバー・KENDRIXナビゲーター
MPN 副理事長・JDDA理事長
芸団協CPRA 法制広報委員会委員長・徴収業務委員会副委員長・ 海外徴収委員会委員
MAJエグゼクティブディレクター・日本プロ音楽録音賞運営委員
【ご挨拶】
このたび、2026年3月執行のJASRAC正会員理事選挙(作詞者区分)に立候補いたしました、Watusiです。
私は、作詞・作曲・編曲家としての創作活動、ならびにアーティストとしての現場経験と並行し、実演家団体MPN副理事長、芸団協CPRA各委員会の委員として、著作隣接権をはじめとする権利課題に継続的に向き合ってまいりました。法制広報委員会委員長としては、「レコード演奏・伝達権」を巡り、文化庁著作権分科会政策小委員会および法制度ワーキングチーム等にも登壇し、実効性ある法改正に向けた議論と調整に尽力してきました。また、徴収業務委員会副委員長として、レコード協会とともに民放連・NHKとの放送使用料を巡る折衝に携わるなど、音楽家の枠を超えた現実的かつ未来志向の活動を続けています。
さらに、JDDA代表理事として東京都との文化芸術支援予算の折衝を毎年重ね、約10年で当該予算を10倍規模に拡充する成果を上げてきました。昨年は初開催となるMUSIC AWARDS JAPANにおいてダンスミュージック部門を担当し、国際性と現場性を重視した部門設計から審査体制の構築までを担いました。それ以前には、「クラブとクラブカルチャーを守る会」会長代行として、2015年の風営法改正にも深く関与してきました。
私の役割は、理想論に留まることなく、明確な目標を定め、現実に即した変化を一歩ずつ確実に進めていくことにあると考えています。長期的な理念だけでは変革は実現しない —— その現実を、現場で向き合い、交渉し、決断を重ねる中で学んできました。
JASRACにおいても、システム懇話会の新設や約款委員会への参画を通じ、そうした問題意識を共有してきましたが、現状の関与のあり方では、時代の変化に対するスピードが十分とは言えないと感じています。クリエイター向けDXを牽引するKENDRIXプロジェクトには、立ち上げのきっかけとなった2019年の実証実験の時からアドバイザーとして関わっていますが、2022年の立ち上げに至るまで約4年を要しました。しかし、いまやそのような時間的猶予はありません。
生成AIを巡る問題を見ても、懇話会や勉強会などが議論を重ねている間に現実は遥か先を先を進み、創作と市場の構造は急速に変化しています(今年中に日本でも生成AIで作られたトリックスターがチャートの1位を飾るでしょうし、来年あたりにはその全国ツアーもあると感じています)。だからこそ、完璧を待つのではなく、確実性を担保しながら迅速に前へ進める意思と判断が何よりも必要だと考えます。
【JASRACの課題】
私がJASRACの課題として強く感じているのは、組織運営における閉鎖性と保守性、ならびに独自の慣行や人間関係が優先されやすい体質です。その結果、本来の目的や目標から乖離した意思決定や業務の進め方が見受けられる場面もあり、根本的な意識改革が必要だと感じています。また前例を重んじる姿勢そのものを否定するものではありませんが、前例が判断停止の理由となってしまう状況も、今後改めていかなければなりません。また制作現場を知る職員が少なく一連の制作作業工程の中での作家の不安や不満に寄り添うことが難しいという面も感じています。
また、システムおよび構造面での現代化の遅れも深刻な課題です。急速にグローバル化する音楽産業に対し、デジタル基盤の改善が十分に進まず、海外徴収を将来の柱とすべき状況に追いついていません。作品名や作家名の管理においても、日本語表記中心の運用が原因で、海外で付与されたローマ字表記との不整合により権利が宙に浮いてしまう事例が少なからず存在します。アルファベット表記はデザインではなく言語であり、大小文字の違いが意味を持たないという国際的常識を、JASRAC自らが先導して是正していく必要があると考えています(私のケースでもWATUSIとWatusiではIPネームナンバーが異なるという世界的に見るとかなり謎な状態になっています)。
さらに、JASRACの発信力・啓蒙力の弱さも大きな課題です。私の周囲のミュージシャンやDJの間でも、誤解や断片的な情報に基づく否定的な認識が根強く残っています。その多くは制度や手数料の実態、過去の判例を正確に知る機会がないことに起因しています。JASRACが何のために存在し、どのような方々がどのような思いで業務に携わっているのかを、より開かれた形で発信してほどの思いがなければ現状を反転させていくことは難しいと感じています。
特に憂慮すべきは、情報発信の不足により、若い世代の作家が本来行使できる権利にアクセスできていない現状です。会員でなければ行使できない権利構造が十分に伝わらず、その結果、若年層の会員数が大きく伸び悩み、総会員数の減少にもつながっています。このままでは、次世代を支える著作権管理団体としての持続性にも不安が残ります。
【立候補にあたっての決意】
今のJASRACには多くの意見がありながら、決定し、前に進める力が不足している —— なのでその一因を担う「ピース」になること。それが、私が理事に立候補した理由です。私は、JASRACを「少し直して、次に繋ぐ」(by 田中正造)ために、その責任を引き受ける覚悟です。
何卒よろしくお願い申し上げます。


