COLDFEET

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今宵もDr. Buzzard’s Original Savannah Bandと

2夜連続で大好きなKid CreoleことAugust Darnellのお話を。

昨夜紹介したDr. Buzzard’s Original Savannah Band。実はBest盤(こちらはCDのみか。しかもレーベルの都合で1stと2ndをシャッフルしただけで全曲収録という謎なものです)に色々今まで分からなかったKid Creoleの事やバンドの謎解きも書いてあります。Stoney Browder Jr.(ストーニー・ブラウダー・ジュニア)と、August Darnell(オーガスト・ダーネル)という兄弟を中心にNYCはブルックリンで結成されたバンドとはもちろん知っていましたが、二人の父親は映画好きだったようで、その父親に連れられて一日三本も映画をハシゴしていたようです。

そんなある日、二人は「Stormy Weather」に出演していたCab Calloway(キャブ・キャロウェイ)に大きな衝撃を受け、Savannah Bandのコンセプトを思いついたそうです。もっともStoney Browder Jr.が作曲面で影響を受けたのも、キャブ・キャロウェイ、デューク・エリントン、トミー・ドーシー、ベニー・グッドマンやアンドリュー・シスターズのハーモニーだと言うのですから、あんな音楽が生まれ落ちるのもなるほどの成り行き。1930年のSwing Jazz Bandと70年代後期のDisco Musicを合体させた、Swing Jazz 70年代版と言ったサウンドやZootスーツ、幅広で短いタイなんていう洒落たスタイルのバンドはそんな二人から作られました(ちなみにデビュー時のマネージャーはかのTommy Mottollaだったらしいです)。バンド名に付いている「Dr. Buzzard」というのは父親が子供たちに寝物語で語って聞かせていた架空のキャラクターで、医師ではなく呪術師(Medicine Man)との事。

どこにも登場しない「Dr. Buzzard」さん、実は僕1stのジャケで指揮している人のイメージじゃないかと思ってたんですが・・・・どうなんでしょう?

解散後にKid CreoleになるAugust Darnell(本名Thomas Browder)は1950/8/12、カナダ・モントリオール生まれでNYCのブロンクス育ち。父親はドミニカ人、母親はフランス系カナダ人でボーカル、ベース、作詞担当。お兄さんのStony Browder Jr.は1949生まれでギター、キーボード、作曲/編曲担当。女性リードボーカルのCory Dayeは1952/4/25生まれ(ちなみにお兄ちゃんのガールフレンドだったようです)。後にAugust Darnellと一緒に Kid Creole And The Coconutsを始めるヴィブラフォン/マリンバ奏者のCoati MundiことAndy HernandezとドラムのMickey Sevillaとで結成。1stアルバムのクレジットではさらにパーカッション奏者のDon Arando Bonilla(ドン・アーマンド・ボニーラ、後にDon Armando’s Second Avenue Rhumba Bandを結成)もメンバーに。そのクレジットの最初にScreenplay by August Darnell、Musical Director Stoney Browder Jr.なんて書いてあるのも洒落てました。洒落てるといえばジャケやアー写に必ず登場しているワンちゃん(コッカ・スパニエル)、ミスター・ライムライトもメンバーのようで、なんと昨夜紹介したLiveの映像でもStony Browder Jr.の弾くピアノの下に寝転がってます。

メンバー全員が混血という彼らは自身の音楽をmulatto musicと呼んでいたようで、あらゆるタイプの音楽をまぜこぜにした音楽という意味らしい。

「Whispering – Cherchez La Femme – C’est Si Bon」はなんと’76年にダンスチャートで1位でした。A Tribe Called QuestからM.I.A.までがサンプリングした「Sunshower」は日本でもフリーソウルの文脈からも人気。「I’ll Play The Fool」なんかはダンクラ入りでしょうか。NYCのセレブ・ディスコSTUDIO 54なんかでも大人気だったようです。

そもそもBrowderとDarnellを意味するB&DっていうのはNYCの街角的にはBondsge & Discipline即ちホモのS & M Playを意味するスラングから来ているらしく、その歌詞も一指示縄では行かない内容(それはKid Creole And The Coconutsになってさらに拍車がかかります)。でも昨日UPした「Cherchez La Femme」なんて曲は(直訳すると「Look For The Woman(女を捜せ)」ですけど)、なんとアレクサンドル・デュマの「パリのモヒカン族」に出てくるワンフレーズらしく・・・なんともスノッブな深みもあるバンドです。

夕べ紹介した3枚アルバムをリリース後、August Darnellは抜けDr. Buzzard’s Savannah Band名義でアルバムを出しますが(これは人気無し)、そこでバンドは終了。August DarnellはZEレーベルでプロデューサーとして、またKid Creole And The Coconutsのリーダーとして大活躍。Stony Browder Jr.もAugust DarnellとZEレーベルのCristina(大好き!)やElbow Bones & The Racketeersのアルバム(これがまた良し)等のプロデュースをしていましたが、僕はその後の事は知りません(誰か教えて!)Aural ExcitersやKid Creole And The Coconutsのアルバムには関わっていましたね。Cory DayeはそのStony Browder Jr.も関わっていない(別れたの?)もののSavannah Bandの延長とも言える内容のアルバムをSavannah Bandと同じプロデューサーSandy Linzerのプロデュース&作曲(しかもマネージメント&ディレクターにTommy Mottollaの名まで!)の元素敵なアルバム「Cony and Me」をリリース。その後レーベルも代わり、かのRon Rogersプロデュース(曲もアレンジもエンジニアも担当)でよりディスコなアルバム「In The Middle Of The Night」(COLDFEETにもそんな名前の曲がありました/笑)をリリース。一応知る限り最後のリリース「I’ve Cried」の12インチまでは持ってるんですが、残念ながらそれ以降のリリース状況は分かりません(YouTubeではCoati Mundiと一緒にLiveやってる映像なんかはあります)。

はぁ・・・・・・・思っていた事、知ってる事をこの機会に書き出してみましたが、Savannah Bandの話でもうこんな。プロデュース始めそれ以降のAugust Darnellの話はまたの機会に!!

Dr. Buzzard’s Original Savannah Band – Hard Times (1976年)